
兵庫県神戸市にある学校法人瀧川学園 滝川第二中学校・高等学校は、「自ら考え、行動できる力を育てる」ことを教育の中心に据え、知性と感性を磨きながら、未来を生き抜く力を育む学校です。多様な個性を尊重する校風のもと、学問・部活動・探究活動など、さまざまな分野で生徒一人ひとりが主体的に学ぶ環境を整えています。
さらに同校では、「ICT教育の充実」も重要な柱のひとつとして掲げ、生徒が自分の端末を活用する「B.Y.O.D.(Bring Your Own Device)」を導入。授業や探究活動など、学校生活のあらゆる場面でデジタルツールを活用した学びを推進しています。
そんな同校に2025年に導入されたのが、サカワの「スライード」とSONYのモニター「ブラビア」です。これらを計47教室に取り入れたことで、学校にどのような変化が生まれたのでしょうか。
今回は、機器の選定から設置までを担当した Media Information Centerの和田先生と北垣先生に、導入の背景や選定の決め手、そしてその後の効果について詳しくお話を伺いました。あわせて、日本史探究の授業でスライードを使用している西海先生にも、実際の授業での活用例をお聞きしています。
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プロジェクターの限界を感じ、授業環境を変えるため動き出した

同校ではこれまで、プロジェクター(他社製)を活用して授業を行ってきました。しかし、年月の経過とともに映し出される映像が薄くなり、「見えづらい」という声が生徒や先生からあがるようになったといいます。
「少しでも見えやすくしようと、暗幕で窓を覆って教室を暗くしたこともありましたが、それでも改善されませんでした。後ろの席はもちろん、前の席でも見えにくい生徒がいたんです」と和田先生は振り返ります。
こうした状況から、文字や画像がくっきり映り、画面の反射が少ないモニターの導入が校内で検討されることに。ただしその際、モニターの設置方法が課題となりました。
「教室の広さには限りがあり、スタンド式のモニターを置く場所はありません。天吊りや壁掛けではモニター位置が固定されてしまい、座席によっては依然として見えにくく、同じ場所を見続けることで生徒に疲労が生じる可能性がありました」と北垣先生。
そうした折、足を運んだ「EDIX大阪 教育総合展」で「スライード」と出会います。さらに会場で目にしたスライードの“ホワイトボードの前をモニターが左右に動く仕組み”に強く惹かれ、「これなら本校にも合いそうだ」と確信したといいます。
徹底した安全設計と確かな耐久性が、スライードを選ぶ決め手に
和田先生と北垣先生が中心となり、校内組織にスライードの導入を提案。慎重な議論が重ねられました。選定の際に重視したのは、「75インチのモニターを安定して設置できること」「後付けでも十分な耐久性を保てること」「安全対策が徹底されていること」の3つです。
特に安全面では、生徒が触れても危険がない可動部設計かどうかを入念に確認したといいます。「多くの先生方が、モニターをスライドさせるときに指が挟まれたり、服が引っかかったりしないかと心配していました。しかし、ローラー部分には安全カバーがついており、その点は問題ないとの判断になりました」と和田先生は話します。
また、後付け設置でも4~5年以上の耐久性が見込める堅牢なつくりで、後付け感がなく、教室空間に自然に溶け込む構造も高評価だったそう。「スライド動作に合わせてケーブルがきれいに巻き取られる様子が好きで、気に入っています。見た目にもすっきりして見えるのがいいですね」。

設置工事に際しては、サカワと代理店であるSky株式会社の担当者の細やかなサポートが印象的だったと北垣先生は振り返ります。「各教室の構造を丁寧に確認してくれたり、費用や工期の相談にも柔軟に応じてくれたり、現場のことを考えて寄り添ってくれる姿勢が本当にありがたかったですね」。
夏休みの10日間を使用して、設置工事が完了。耐震性や設備などの問題からどうしても難しかった4教室をのぞき、全51教室のうち47教室にスライードが導入されました。
スライードの導入で、クイズも板書もよりスムーズな授業が実現した
設置されたスライードとモニターは、先生と生徒の双方から好評だそう。「生徒は設置工事が決まったときから喜んでいました。実物のスライードを目の前にすると、“これ動かせるの?”と楽しそうに動かしていました。(笑)」と和田先生。
日本史探究の授業を担当する西海先生は、スライードとモニターの効果を毎日の授業で実感しています。「授業では、私のパソコンから無線を使用してモニターに資料を投影します。文字がくっきり見えますし、明るい時間帯でも画面の反射が気にならずに助かっています」。

授業では、授業支援ツールを使って先生が作成した“早押しクイズ”を行う場面もあるそうです。モニター画面には問題文とカウントダウンのタイマーを表示。生徒たちは手元のタブレットやパソコンに回答を記入し、制限時間がくると先生のパソコンに全員の回答が自動で送信されます。それがモニターに反映され、みんなの答えが一斉に見られる仕組みです。回答結果が現れると教室は一気に盛り上がり、その様子はまるでクイズ番組のようだとか。
「シンキングタイムにはBGMも流しているのですが、以前使用していたプロジェクターでは音が割れてしまいよく聞き取れませんでした。今では音がクリアになり、生徒も“音質が良くなった!”と嬉しそうです」。
こうしたアクティブな授業スタイルを支えているのが、スライードの柔軟な動作です。これまでプロジェクターを使用していたときは、授業中に生徒から「見えにくい」という声が出ることもしばしばありました。そのたびに先生が投影された資料の内容をホワイトボードに板書し直すなど、授業の流れが中断されてしまったといいます。
「今は生徒の様子を確認しながら、見えづらそうにしている子がいれば、スライードを少し動かすだけで対応できる。プロジェクターではできなかったことが、すぐにできるようになりました」。
授業中にパソコンに書き込んだ内容がそのままモニターに映る点も、先生が気に入っているポイントです。たとえば資料に補足説明を加えたいときは、手元のパソコンにタッチペンでメモを書くと、その文字が画面に反映されます。以前は資料を投影したホワイトボードの上からマーカーで書き込むために、パソコンとホワイトボードを行き来していましたが、今は場所を移動する手間がありません。

さらにプロジェクター時代は固定された映像を避けて板書するしかありませんでしたが、現在はスライードを自由に動かしながら、空いたスペースに必要な板書ができるようになりました。「スライードとモニターのおかげで、効率的かつ柔軟に授業を組み立てられるようになりました」と笑顔で話します。
導入を考える学校は、まず実際にスライードが導入されている教室を見てみてほしい
学校の魅力を“多様性”だと語る和田先生。「本校には本当にいろんな子がいて、それぞれ自分の興味関心と正面から向き合っている姿が良いところだと感じています」。
その一例が、“キャンパスナビゲーター”という取り組みです。部活や生徒会とは異なり、学校をよりよくするために自主的に行動する生徒たちの集まりで、花を植えたり、壁を塗って教室をリニューアルしたりと、校内の環境づくりに積極的に取り組んでいます。
さらに、学校説明会での案内動画の制作や、地域のパン屋さんとコラボして「滝二パン」を開発するなど、外部と連携したプロジェクトも多数。生徒自身が主体的に動き、ICTを活用して社会とつながる経験を積んでいます。
これからは、タイピングやプレゼンテーションなど、ICTを使いこなせる力は必ず必要になる時代。世の中で必要な基礎力を、本校で過ごす中高の6年間で自然に身につけてほしいと北垣先生は言います。「技術は日々進化していきますから、学んだことが外に出たときに古くなってしまわないよう、できるだけ新しいものを取り入れるようにしています。卒業後も社会で通用する力を育てたいんです」。

最後に、スライードの導入を検討している学校へのメッセージをこう添えました。
「スライードは設置工事が必要なため、“試しに1教室だけ入れてみよう”といった小規模な検証が難しい機器です。そのため実際の使用感がわかりづらく、導入を躊躇する学校も少なくないかもしれません」。
さらにショールームで見るのと実際の教室で使うのとでは、全然印象が違うとも話します。同校で導入した経験から、自分たちの学校での使用イメージを確認するには、すでに導入している学校に見学に行くのが一番だと感じているそう。
「本校はいつでも見学に来てもらって構いません。ぜひ実際の教室を見て、導入のイメージを膨らませてもらえたらと思います」と語ってくれました。
編集後記
滝川第二中学校・高等学校では、プロジェクター(他社製)からモニターへの移行に伴って生じた課題を、「スライード」の導入によって解決しました。安全性や耐久性、柔軟な可動といった機能面はもちろん、後付けでも教室に自然に溶け込むデザイン性も高く評価されています。さらに、導入時の丁寧なサポート体制にもご満足いただけた点が印象的でした。滝川第二中学校・高等学校の皆さま、このたびは取材へのご協力を誠にありがとうございました!
導入製品
製品名:スライド式大画面電子黒板「スライード」(製品ページはこちら)
電子黒板:SONY製モニター「ブラビア」75型
配線キャリーシステムタイプ:B型レール
設置台数:47教室
担当:株式会社サカワ、Sky株式会社